「田人の森に遊ぶ」2013/アートミーティング

 

「田人の森に遊ぶ」2002/アートミーティング
 2002年 フィールドワーク「ここにねむる」2002/ヒグマ春夫

眠るボトル

渓流の水をボトルに

ボトルを石の上に

ボトル渓流に浸かる

穴を掘る

ボトルを置く

 渓流に足を踏み入れて思うことは、なんと美しい水だろう、なんと冷たい水だろう、魚はいないだろうかと云うことである。そして、この水がずっとこのままであればと願う。
 「田人の森に遊ぶ」2002/アートミーティングは、今年で2回目になる。福島県いわき市田人町の自然を使ってこの催しは繰り広げられている。スエーデン、イギリス、アルゼンチンからも作家が参加し、アートミーティングは盛り上がりを見せている。

 
 田人町は、周りを山で囲まれているのでどこを見渡しても山と山である。そんな山の中だけど、物置き小屋を使ったり、畑を使ったり、杉山を使ったり、川を使ったりと、けっこう自然の中に表現の場はある。

 
 わたしは、山本氏宅の周りを選んだ。山本氏宅は、渓流が合流する所に位地している。丸太木で出来た橋を渡ると山本氏宅がある。この丸木橋から見る渓流が素晴らしいのだ。昨年は、この橋の上から渓流に向かって映像を投影し満足だった。

 
 自然の中でモノを創りそこに提示する時、まず最初に場所を考える。そして、その場所がどんな地形をしているか、そこにどんなモノがあるか、その場は危険ではないか、見る人はどんなふうに動いて行くか等をじっくりと考えその場を観察する。そして、そこに新たな発見があれば申し分ない。

 今年は「水」そのものの存在に迫ってみょうと考えていた。渓流の水をペットボトルに入れた。ペットボトルを川に流してみた。ペットボトルを石の上に置いた。ペットボトルを草の上に置いた。いろんな場所に水の入ったペットボトルを置いてみた。どこもあまり居心地が良さそうでない。 
 今、見ている水は澄み切っていて冷たくて美しい。この水が一年経ったらどんな状態になっているのだろう。そう思ってしまった。そして、水の入ったペットボトルを土に埋めることにした。

 
 ペットボトルを埋めるため穴を掘った。最初枯れ葉がでてきた。何年も経っている枯れ葉だった。次に黒い土だった。そして、砂が混じったような赤い色した土が出た。そこから15センチぐらいの大きなミミズもでてきた。ここの土は肥えているなと一人納得していた。穴は、60センチぐらいの小さな穴だった。そこに水の入ったペットボトルを置いた。上から掘り起こした土をかぶせた。まるでペットボトルの墓みたいである。別にペットボトルの墓をつくったわけではない。ここに埋めたのも幾つかの目的があった。

 
1.一年経ったらこのペットボトルはどうなっているだろうか。
2.中の水はどうなっているだろうか。
3.この埋まっている環境はどうなっているだろうか。
4.観客は、こんなフィールドワークをどう観たのだろうか。と言う様なことを一年経って検証してみたいと考えている。(2002年8月)