作品展示:2007年10月20日(火)〜11月5日(月) 開場時間:10:00〜17:00 会場:東京工芸大学 中野キャンパス 芸術情報館1階 ギャラリーA 展示:ポン・ジュノ、イ・ソンガン、カン・ドハ、キム・ギュジョン、古川タク、木の花さくや、ヒグマ春夫
講演・パフォーマンス「ヒグマ春夫の映像試論」 日時:2007年11月5日(月)11:00〜12:00 会場:東京工芸大学 中野キャンパス 芸術情報館1階 メインホール 構成・映像:ヒグマ春夫 出演:キサラ
ひらけ!メディア 日・韓メディア芸術の現在2007 主催:東京工芸大学 芸術学部 後援:日本映像学会、駐日韓国大使館、韓国文化院、韓国文化コンテンツ振興院
作品のテーマを水とした。 皮膚も脳も内臓も水分を必要としているということもあるし、水は健康のバロメータであるということもあるが、もっとも重要なのは、二度とおなじ水に出会えないということである。繰り返し押し寄せてくる波を見ていると、いつも同じような形に見えるが、同じ波ではない。その波が弾ける。波のリズムが壊れる。即興の連続とも思える波の遊戯が綿々と続く。その波に身体のリズムを重ねる。引き合ったり離れたり同調したりする。結局、心地良いと感じる瞬間は、身体のリズムとリンクする瞬間だった。 雫がポトン、ポトンと落ちる。雫が落ちる度に容器の波紋は拡がる。波紋は容器を超えて、はるか彼方まで拡がっている。インスタレーションでは、水それ自体をリアルタイムの画像として映しだしている。 今回メタファーとしてCD、カメラ、時計をインスタレーションに組み込んでいる。この3つには、記憶という経験の時間軸があり、覚醒という、体感の時間軸がある。 記憶という経験の時間軸は、水に限定していえば、海で波を見たとか、湖でシンメトリーに写る山の風景に出会ったとか、霧のような滝しぶきを見たとか、実際に視覚を通して経験したことである。 覚醒という体感の時間軸は、仮に水に限定していえば、泳いだ海とか、浴びたシャワーとか、飲んだ水の冷たさとか、触覚や味覚を通して体感したことである。 今回は、撮影して体感した二つの時間軸を、パフォーマンスという手法で用いて蘇らせたいと思う。 パフォーマンスでは、あらかじめ制作された画像と、映し出される会場のリアルタイムの映像と、そこに表れる身体表現者との身体リズムの調和を問題にしている。 そこには往来する、過去、現在、未来がある。制作された画像は、いつも過去の産物であるが、身体が加わり、再現することで現在が蘇り未来を想像する。 映像にダリの絵画を二点組み込んだ。一点は「蜜蜂が飛んで生じた夢」である。この作品は、若い女性が海辺の岩に裸体で寝そべり、象が吊り下げられていくところを見ている絵画だ。そこに、二匹の虎が空から飛びかかってきている。もう一点は、「記憶の固執」である。これは半島が飛び出している砂浜に枯れ木が一本あって、そこに曲がった時計がかけてあり、その下の石にも曲がった時計が置いている。その横に正常な懐中時計がある。砂浜にはアザラシを思わせるような物体があり、そこにも曲がった時計がかけられている。この二点の絵画から「記憶・時間・エロス」を感じ使用した。
「記憶を覚醒する水」パフォーマンス/構成:ヒグマ春夫/身体表現:キサラ 撮影:川上直行