1996
ミメーシスする身体 Vol.1 ミメーシスする身体 Vol.2 ミメーシスする身体 Vol.3 ミメーシスする身体 Vol.4 ミメーシスする身体 Vol.5 ミメーシスする身体 Vol.6
    
    

「反復という表現行為」・FL-Project
       
 私たちの住む地球は、とても不可思議に生きている。北極や南極は絶えず氷に閉ざされ、赤道直下ては何時も暑い日々が続く。しかし、驚きはそういった季節の変化や温度の違いだけではなく、地球が海と陸とから成る球体であるということである。当然、大きな宇宙を構成する小さな惑星の一つに過ぎないのだが、だが、私たちは、その小さな地球に住む様々な生物と共存しあって生きている。一般的に地球を語るとき、地・水・火・風・空といった五元素を解明して現す。ゲーテは、地・水・火・風について、人類の大きな敵であると考えていた。「われわれはそれと永遠に闘わなければならないし、それを一つの事例において、ただ精神の最高の力と言うべき勇気と戦略とを用いて克服してゆかなければならない」と云っている。地球が大きく海と陸とによってつくられているのであれば、当然、陸と海との境界線があるはずである。その境界線がどのような環境でどのような現実を受け入れているか覗いてみたいと思った。気になる境界線と狭間。マンデルブロは、島の海岸線の長さをフラクタル理論を用いて提示し、海岸線の長さは事実上、無限大になってしまうという結論をだした。その理論によると、海岸線や木、山、銀河、雲、高分子、川、天気の変化、脳、肺、気管などの複雑な形態は、フラクタルによって定量的に説明できることがわかったらしい。しかし、実際に海と陸との「ハザマ」に身を置くと、その境界線は、あやふやで複雑に揺らいでいる。そして、時には、途方もないことを思い巡らしたりする空間でもある。例えば、太古の昔、生物は海に住んでいたこと、それから、進化の過程で陸に上がって住む生物がふえてきたこと、陸に住む生物と海に住む生物は、全く違った環境に住み、海と陸を二分化していることなどである。海岸線に限らず輪郭線というものはハッキリと区別できるものではなく絶えず複雑に揺らいでいる。身体もまた皮膚を境に、皮膚の内側と皮膚の外側というふうに、二分化しているといえなくもない。
    
FL-Projectは、初めに海と陸とのハザマに身を置くこと。或いは、ハザマを意識することからはじめる。ハザマに身を置き時間と空間を共有する。そして、各々が自然や生物や人間の在り方を考える。次に、ハザマで見たこと、感じたこと、行為したこと等をフィードバックする。いうなれば情報メディアによるバーチャルな体験から、肉体的な生な体験を反復する試みである。(1998年)