ヒグマ春夫の映像パラダイムシフトVol.81

「十三夜」
「奇跡の14ヶ月」と言われる短い作家生活の間に「たけくらべ」「大つごもり」「にごりえ」「十三夜」などの作品を書き、24歳の時にこの世を去った樋口一葉(1872-1896)。「月」のことを、人生を見つめる神仏の視線として位置付けていたと言われる一葉が描く「十三夜」を読む。

樋口一葉 作『十三夜』あらすじ
 舞台は十三夜(旧暦の9月13日)の夜のこと。奏任官原田勇の妻お関は、実家を一人で訪れる。両親は突然の来訪を喜びながらも、なかなか帰ろうとしない娘の様子をいぶかしく思う。その両親に向かって、お関は夫から受ける精神的な虐待ぶりを訴え,7年間の我慢の末、離婚を決意したと涙ながらに語る。が、父親は、同じ泣くなら原田の妻、太郎の母として泣けと諭す。お関は父親の言葉に従い、死んだ気で生きることを決意する。
 その帰り道、乗った車を引いていた男が幼馴染で初恋の人高坂録之助であることに気がつき、録之助からは、家も仕事も家族も失った転落の軌跡を聞く。今は虚無的な生活を送っている録之助。お関と録之助は淡々と別れ、そんな二人を十三夜の月が照らしていた。

ヒグマ春夫の映像パラダイムシフトVol.81
出演:馬 場 精 子(朗読)、塩 高 和 之(琵琶)、田 中 黎 山(尺八)、ヒ グ マ 春 夫(映像)
日時:2016年9月3日(土)
会場:キッド・アイラック・アート・ホール
照明:早川誠司
協力:キッド・アイラック・アート・ホール

「映像パラダイムシフト」は、映像とはいったい何だろう、映像が関わるとどんなことが可能になるのだろうか、 といったようなことを追究しています。


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Higuma Haruo(Artist)
'90年度文化庁派遣芸術家在外研修員ニューヨークその成果発表を’08年「DOMANI・明日」展(国立新美術館)。映像が介在する表現に固執し「ヒグマ春夫の映像パラダイムシフト」を継続中。他にコラボレーション企画「ACKid」、「連鎖する日常/あるいは非日常・展」がある。


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