今回の作品のテーマが「水の記憶」ということで、学校にあった物を使って作品化したり、水をコップに入れて並べたり、地元の人から持って来てもらった皿で、カイワレ大根を育てたりしています。ちょっと変わった作品だが評判はまあまあです。カイワレ大根の発芽と水滴装置から落ちてくる水滴に特に興味があるようです。
水の入った小ビンを持ってもらい、ビンと一緒に写真に撮ることを初めています。その写真をコンピュータに逐次アップし、映し出しています。そのことがどんなことになっていくのかはまだ解りません。コンセプトとしてはあります。水の記憶と人の記憶との相関性です。水の記憶とは何だろう、実際に水は記憶するのだろうか。「水からの伝言」という写真集を見たことがあります。その写真集は水を冷凍しその結晶を写したものです。解説によると同じ水を容器に入れ別々に違った音楽を聴かせ、その水を冷凍し結晶を撮影すると、二つは違った表情を持った写真になるといいます。確かにその写真集では違って見えます。視覚的にはどうなのだろうか。やはり同じ水を容器に入れ別々に違った写真を見せて冷凍し結晶を写真に撮ると、二つは違った表情を持った写真として現れています。水は確かに五感の一部を感じ記憶しているといえるでしょう。では、ビンに詰められた水はどうだろうか。わたしは精神力として考えているのだが。ここで使う水の入った容器は透明だから、水は外界を見ることはできます。だが触覚、味覚、嗅覚、聴覚は容器で断絶されています。精神の力でビンの水と交信するしかないでしょう。五感の力を感じるには精神力が重要です。
最近の若者は、五感の力が衰えていると言われています。確かに自然を感じる環境が狭まれているのを感じるこの頃です。
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