Rewind   記憶の覚醒・冷たい皮質/ヒグマ春夫
Installation
BEAMS展示作品/2007.6
BEAMS展示作品/2007.6
BEAMS展示作品/2007.6
BEAMS展示作品/2007.6

 

 1977年に制作した「AからBへ」の作品写真を見ていて、不思議な記憶が甦ってくることがある。それは作品そのモノというより、まわりに写り込んでいる映像から受けるその当時の記憶である。まさに記憶が覚醒されていく瞬間である。


 そんな体感があって、被写体に意図的にモノを乗せ、その乗せた状態を視点を移動して写真に撮ってみた。撮った写真のモノを繋ぎ合わせると、モノでない部分はズレができたり、微妙なダブリが現れたりしていて、新たな映像の不思議感が立ち現れているのを感じる。

 

1977年「AからBへ

 数枚のデジフォトを組み合わせたコラージュみたいなものである。モノを繋ぎあわせているのだが、不思議感は益々増幅する。あえて一人の女性を被写体にし、場所や衣装を変えて撮影することにした。そこで浮かび上がってくる「皮質の記憶」を捉えようとした。


 実は、この繋ぎあわせる手法は、人間の眼差しの構造に似ている。人間の眼は何かを見る時、他の被写体は無意識にしか見ていない。鏡や水面を覗き込むと分かりやすいが、鏡や水面を覗き込むと一点を集注してみている。見えているはずの他の部分は意識にはない。見えていないのではなく意識にない。試みている映像の重複視は、円形のモノに対しての無意識の眼差しの現れである。


 写真をベースにした今回の展示は、インスタレーションの他に、パフォーマンスも行い、DVDで映像も映し出している。

DVD/記憶の覚醒・冷たい皮質/出演:小林美萌
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DVD-R/VIDEO/20Minuter 記憶の覚醒・冷たい皮質Vol.1/記憶の覚醒・冷たい皮質Vol.2
6/21-演じるフミエ/撮影:川上直行
 
7/14-奏でる吉本優美子
7/14-演じる小林美萌